ウイスキー愛好家の中でも人気の高い「山崎」。
とくに年数表記のある山崎12年は、近年手に入りにくくなっており、高騰する価格に驚く人も少なくありません。
そんな中、ふと「12年前に買って保管していた山崎のノンエイジ(NA)ボトルって、今飲んだら山崎12年になってるのでは…?」という疑問を抱いたことはありませんか?
今となっては、その答えはなんとなくわかりますが、私はあります笑
今回はその素朴な疑問に答えるべく、ウイスキーの熟成や年数表記の意味について解説していきます。
ウイスキーの「年数表記」の意味
ウイスキーのボトルに書かれている「12年」「18年」などの年数は、ウイスキーが熟成に使われた樽の中で何年寝かされたかを示しています。
この期間は、ボトルに詰められるまでの“樽の中にいた時間”を指しており、瓶詰めされたあとは熟成が進むことはありません。
つまり、「山崎12年」は12年以上熟成された原酒だけを使ってブレンドされたウイスキーという意味です。
そして、一度瓶詰めされてしまえば、その後どれだけ年月が経っても、ウイスキーの年数は“12年のまま”なのです。
ボトルの中では熟成は進まない
ワインのように瓶の中でも熟成が進むと思われがちですが、ウイスキーは違います。
なぜなら、ワインと違い、ウイスキーのアルコール度数は40度以上と非常に高く、酸化や発酵の影響を受けにくいからです。
密閉された状態のウイスキーは、基本的に味の変化はほとんど起きません。
もちろん、保管状況によってはわずかに風味が変わる可能性はありますが、それは「熟成」ではなく「劣化」や「経年変化」に近いものです。
ですから、12年前に購入したNA(ノンエイジ)ボトルが、現在「山崎12年」相当になっている、ということはないのです。
NA(ノンエイジ)とはそもそも何?
ノンエイジ(NA)とは、年数表記のないウイスキーのことを指します。
年数の異なるさまざまな原酒をブレンドしている場合や、比較的若い原酒を主体にしている場合などに使われます。
山崎NAも、複数の熟成年数の原酒をブレンドした商品であり、「山崎12年」とは全く別の設計で作られています。
つまり、12年間家で寝かせていたからといって、それが山崎12年になるわけではないのです。
長期保管のウイスキーに価値はある?
とはいえ、古い山崎NAのボトルがまったく価値がないかというと、そうでもありません。
最近では「旧ラベル」や「販売終了ラベル」がプレミア価格になるケースも増えており、12年前のボトルにもコレクター的な価値が出ている可能性はあります。
味わいも現行のものとは微妙に異なることがあるため、ファンの間では「オールドボトル」として楽しむ人もいます。
熟成が進んでいるわけではありませんが、年月を経た希少性や風味の違いを楽しむという意味では、大切に保管してきたボトルもまた特別な存在といえるでしょう。
12年分の「時の価値」はある、ということですね。
まとめ
12年前に買った山崎NAは、たとえ時間が経っていても「山崎12年」にはなりません。
ウイスキーの年数表記は、あくまで“樽の中で熟成された期間”であり、瓶詰め後は熟成は止まってしまうのです。
ただし、長期保管されたボトルには「オールドボトル」としての価値や、微妙な風味の違いといった魅力があることも事実。
ウイスキーは“育てる”ものではありませんが、“時を越えて楽しむ”ことができるお酒です。
大切にとっておいた山崎NAを、今開けてみるのも、きっと素敵な時間になるはずですよ。